近代建築の話を聞いてきました

遅ればせながら、22日(土)に行ってきたので報告を…。

現代風俗研究会」の例会で、先日「東西名品 昭和モダン建築案内」(洋泉社)を出版した北夙川不可止さんの講演がありました。場所は京都の紫明会館。これがまたいい感じのレトロな建物なんです。1階にはステンドグラスもありますし、会場の3階講堂は直線が重なるアール・デコっぽいデザインだったり。

近代建築の保存運動に長年かかわってきて、黒星のほうが多い困難な活動だということでした。確かに、何百年も前の神社・仏閣なら価値があることは分かってもらいやすいですが、近代建築はオーナーが古い、使えないと判断したら取り壊されてしまいます。その価値をどのように伝えていくか…。

最近の大黒星、一番悔しい出来事は大丸心斎橋店の取り壊しです。取り壊し前の細部の写真など、当時のデザイン力の高さと工事を行った職人さんの技術の素晴らしさがうかがえて、二度と再現できないことがよくわかりました。なのに持ち主が「建て替える」と決めたら誰にも止められない。資材は保管して新しい建物に使う、とか言っているそうですが、新しい建物の寸法と合わないらしいです。

それに対して最近の朗報は、奈良刑務所の保存が決まったことです。赤レンガの重厚な建物で、近年は少年刑務所として使われてきました。少年刑務所が廃止になって、あわや取り壊しか、と思ったら、重要文化財指定になり、ホテルとして再生されることが決まりました。先日行われた内部見学会では大勢の人が押し寄せて、入場制限まで行われたそうです。これだけたくさんの人がこの建物に興味を持ち、見たいと思ってやってくるのです。

質疑応答では、建物が取り壊されるときには錦の御旗のように「耐震性」が理由にされるという話。しかしこれは診断する側によって基準があいまいなもののようです。特に建築会社が診断すると、建て替えしてほしいから「耐震性に問題があるので立て替えたほうがいいですよ」という判断に傾きがちになるそうです。

私も、何でもかんでも「耐震性」を理由に壊されていくのはおかしいんじゃないかと思っていました。特に関東大震災のあとに建てられたものは、耐震性に気を使っているはずです。

その後ヴォーリズの名建築「東華菜館」で懇親会。中に入ったのは初めてです。一人では入りにくいので。タコや貝や海のモチーフが多いのは、もともとここは地中海料理店として作られたからだとか。

ここの見ものは手動エレベーターです。蛇腹の扉に時計の針のようなインジケータ。店員さんが本当に手動で動かしているのです。すごい。

食後に館内を見学しました。お客さんがいるので、邪魔にならない程度に。でもあちこちの装飾、レトロな文字表記、創建当時からある灰皿台など、解説してもらえば「なるほど」と思います。お店の方もこの建物に誇りを持ち大切にしていることがわかりました。ついでに、中華料理店だけあって、中国の工芸品がところどころに飾られているのも私には興味深かったです。